吉村瞳はミュージシャンである。
曲(歌)をつくり歌い、ギターを弾く。いわゆるシンガーソングライターだ。
ライブで使用するギターは主に5台、アコースティックギター2台、リゾネーター(ドブロ)ギター、そしてラップスティールギター2台の計5台。ライブの時は常にこの5台の愛機が用意されている。スライドギターを主な奏法とするギタリストなのでチューニングによってどうしても複数のギターが必要になる。
そしてスライドを得意とする、という事は彼女のプレイスタイルはブルース・・・というかブルースをルーツとしたサザンアメリカンなロックやネイティブアメリカン達のルーツミュージックである。
つくる歌詞は基本英語である。全て英語で歌うと決めた時に徹底的に英語の歌を聴きまくって発音を勉強した、らしい。アメリカ暮らしが長い英語の先生が、ネイティブみたいな発音、と絶賛していた。
彼女はオリジナル曲以外にたくさんのカバーのレパートリーがある。Bonnie Raitt ,Mississippi Fred McDowell,そしてほとんどトラディショナルといってもいいAmazing GraceやTennessee Waltzなんかも歌う。
そしてこれらのカバー曲からも想像できるように、彼女のつくる歌は大陸的なおおらかさと豊かな喜びの感情に包まれたスケールの大きさを感じさせる曲が多い。合唱団なんかで歌われても十分に楽しめるような、そんな感じ。まあ、この辺が好みとして受け入れられるかどうか、というところだろうが、アメリカの南部サウンドが好きな人にとってはどツボな感じではないだろうか。
ファーストアルバム 『Isn't it time』→
吉村瞳を初めて知ったのは、彼女のファーストアルバム『Isn't it time』である。彼女と同郷の名古屋在住のお客様にCDをプレゼントしていただいた。(感謝!)まさにツボにはまった、という表現どおり何度も何度もこのアルバムをMojo Cafeでかけ続けた。いつかMojoCafeで彼女のライブを聴きたいと、彼女の演奏する姿を想像しながら・・・。来るお客様にも彼女のアルバムを紹介した。そして、あるきっかけからフェイスブックのメッセージで彼女にMojo Cafeでのライブを打診した。
Mojo Cafeはライブハウスではないし、ライブの機材もほとんど無い事もあり店側からライブを依頼するなんて事は今まで全くなかったのだが、吉村瞳にだけはこちらからアプローチした。そして彼女はこれを快諾してくれた。
あれから、今回のライブがもう6回目、なんだかんだ言ってMojoCafeでのライブ回数は彼女が最多である。
初めてのライブの時から素晴らしくて感動した。ラップスティールギターの奏者としての珍しさだけではなく、彼女の歌が素晴らしいと思った。
MojoCafeでの瞳ちゃん初ライブ→
ハスキーとまでは言わないが適度にかすれた声はボニーレイットを彷彿させる。サザンアメリカンな曲にはピッタリである。
表現力豊かではあるが過度に感情を込めた風でもなく、適度にドライな感じがまた良かった。ラップスティールの激しいスライドにのせて彼女が歌うと妙な色気も漂いだす。
あの初めてのMojo Cafeでのライブから今回で6回目。この間に彼女達(3回目からはパーカッショニストの小笠原友子とのユニット)は大きく成長している。
独自のパーカッションセットから繰り出す小笠原友子の迫力のリズムに、全く負けていない、どころかそれを凌駕する吉村瞳のボーカル&ギター。
初めて見たときの彼女の歌の色気は圧倒的な迫力に変わっている。
激しくもやさしい打楽器のリズムと心地よいコーラスもあり、吉村瞳の存在感はますます輝きを増してくる。
Mojo Cafeの、少し年齢層の高いお客様は、もう最後は黙って聴き入るしかない。
次回の吉村瞳&小笠原友子は2月20日(土)Mojo Cafe 、少し趣向をかえてベテランブルースシンガーの町田謙介さんとのジョイントライブです。あのマチケンさんの素晴らしいボーカル&ギターに瞳ちゃんのスライドとコーラス、おがちゃんのパーカスが絡むとどんなケミストリーが生まれるのか!みなさんお楽しみに!